秋月side

塾長に倉科さんが、桜が入院していることを
伝えたらお見舞いにいけと1週間の有休を
貰った
もともと、先生という立場上見舞いには
行く予定だったから別に良いんだけど………




「ねぇ、今の話、本当なの?」
「蛍さん、」
「あぁ、本当だ」


桜の記憶が戻る?

「なんだよ、それ
本当かよ」
今までのことを思い出すということは……
あの時言ったことも………………………?



「あの、蛍さん
今なら言えることがあります」

湊が真剣な眼差しで俺の目を見る
その後には九ノ瀬も、樹さんも
桜の両親もいる


「蛍さんは知ってますか?」


“桜姉が蛍さんを振った理由”















「う、そだろ」
俺は今までになんてことを言った?
死んどきゃよかった、とか、
どうせ俺に飽きたんだろ、とか、
ほかの男に乗り換えた、とか、


「桜、は、俺のことを思って…………」
それを俺は知らずに
桜を傷つけて
悲しませて
苦しめて




あ………
「じゃあ、あの日、桜の、様子が
おかしかったのも…」
「あの日?」
「桜が塾にこなくなる前日に
喧嘩したんです」




「いつもより進むペースが遅くて」
「ミスも多くて」
「それでもヘラヘラしてて」
「俺はイラつき始めたんです」
「そして桜がトイレに行ってから
何分だっても帰ってきませんでした」
「帰ってきてからも勉強に集中出来て
なくて」
「それから言い合いになって」
「でもよく思い出せば、咳き込む回数が
多かったです」



「挙句の果てには俺、取り返しの
つかないこと言ったかも知れません」
死んでしまえ、と似たような言葉


多分集中できてなかったのは、病気のせい
「昔とはいえ、彼女だった人の些細な様子の
変化に気づけないなんて、
俺は最低な人間ですね」


ほんと、あほらしい




少しの変化なら気づけてたはずなのに……

あの時、気付かないふりをしてしまったんだ