樹side

病院の入口で九ノ瀬君を待つ
湊は学校だ
昨日言った通り、桜の記憶喪失について
話すつもりだ

「やぁ、九ノ瀬君」
「えっ、樹さん!? 仕事は!?」
「いや、今日は君に伝えたいことが
あってね」
「え、俺ですか?」
「君は信用してる
だから、少しだけ時間いいかい?」
「いいですけど、どうしたんですか?」
「ここでは話しにくいな 公園に行くか」
「分かりました」
話が通じる子でよかったな
しっかりしてるし、優しいし………


この子になら桜を任せてもいいような
気がする、なんて思ってしまえる





「今日話したかったことは、桜の
記憶喪失のことについてだ」
「倉科さんの?」
「あぁ、桜は今回が初めての記憶喪失では
ない 7年前、13歳の時にも経験している」
「もっとも、このことを知ってるのは
俺と湊、そして今から聞く、
九ノ瀬君だけだ」
もちろん、父さん、母さんは知らない


_______________蛍君でさえも


「えっ、俺なんかに話していいんですか?」
「言ったろ、君なら信用できる」



じゃあ話そうか

桜の昔話を



桜の初恋を


桜の不幸の始まりを