桜side

久しぶりの我が家

「ただいま…………」

小さくつぶやくと足音が聞こえた

「桜……ッ」

「お兄ちゃん、お母さん、お父さん、湊」

「良かった、良かった」

お兄ちゃんは私を抱きしめたまま

良かった、と何度も呟いている

「お兄ちゃん、ありがとう」

家族全員が知っている私の嘘


「桜姉」

「大丈夫だよ、湊 私だって

そう何回も隠したり嘘ついたりしないよ」

「でも蛍さんのこと……………」



秋月蛍

私の元彼

私の発症した病気の為別れた彼氏




「大丈夫だって 蛍も私を忘れてる」

うまく笑えてるかな

「だからもう蛍のことはいいんだ」

蛍のことは、大丈夫だからさ
みんなそんな顔しないで


「桜……………」

やめてよ、お母さん

悲しそうな顔しないで

私は平気だから
平気って思い込ませるから

_______________あぁ、

ここにいたら泣きそうだ

「ちょっと部屋に行くね」

そして私は自室に駆け込んだ