朝の病院は人が少なく、ひっそりと静まり返っていた。


そんな中6人がぞろぞろと歩いている光景はいつも以上に目立つものだった。


案内された外科病棟まで行くと、廊下のソファに座っている人影が見えた。


准一のお母さんとお父さんだ。


2人は缶コーヒーを手に、ジッと病室のドア見つめている。


その空間は誰かが声をかけることで簡単に壊れてしまいそうな雰囲気を持っていた。


「あの……」


渉が一歩前に出てそっと声をかける。


その声はさすがに緊張しているようだった。


「あら、あなたたち」


准一のお母さんは慌てて立ち上がり、あたしたちに会釈してくれた。


「朝早くに電話してごめんね。准一と一番仲が良かったあなたたちにだけは、先に知らせてあげたいと思って」


「ありがとうございます」


渉はそう言って頭を下げて、ガラス張りになっている病室を見た。


病室内は立ち入り禁止になっていて、中には沢山の管に繋がれた准一が目を閉じて横になっていた。