それから放課後になり、あたしは愛子と理子に声をかけて一緒に帰るように誘った。


愛子は放課後が近づくにつれて顔色が悪くなってきていたし、2人ともほっておくことはできない状況だった。


「あたし、今日は1人で帰る」


人が心配で声をかけたと言うのに、理子は聞く耳をもたずそんな事を言った。


「理子、そんな事言わずに」


そう言って手を伸ばしたが、その手は簡単に振り払われてしまった。


相変わらず青白い顔をしている理子は、ジッとあたしを睨み付けている。


まるであたしに怨みでもあるかのように見えてくる。


だけどそうじゃない。


理子は何かに取りつかれているのだ。


「あんたたちと一緒にいたら、また霊感だのなんだのって話になるでしょ」


理子がトゲのある口調でそう言った。


「その話はもうしないよ。ね、真っ直ぐ家に帰るだけだから」


家に帰ってしまえば准一のように事故に遭って死ぬということはなくなるのだ。