海水浴が怪我により延期。

仕方なく、愛叶とは買い物デート。

お揃いの服を見たり、プリクラを撮ったりと、夏じゃなくても出来る事で、1日を過ごす。



「何か不思議だなぁ。あの男(永)が悠李を食わないなんて」



「……どうして?;;」



もちろん、キスの事は言ってない。

まぁ、ルールの事は知ってるだろうけど。



「お兄ちゃんさ、悠李も知ってる通り、顔は良いでしょ?社会人になってからは知らないけど、学生時代は来る者拒まず。悠李が思ってる以上で。もちろんヤツは頭は良いから、ヘマとかはしてないし、一度の条件は飲ませてる。けど、普段は温厚な慧汰君とも、何度か喧嘩してた」



「お兄ちゃんと?」



「そう。慧汰君の彼女すら、抱けた男(あいつ)は、親もドン引きしてた」



「……そっか……」



フードコートの角席に座り、氷だけとなったプラスチック製コップに、ストローを幾度となく叩き付ける。

頷きながらも、引きすらしない私は、頭がおかしいのか。

お兄ちゃんの立場だったら……。

親目線に立ったら、そりゃあ思考は変わる。

だけど、永君には、私の気持ちでしか向き合えないようだ。



「そんなお兄ちゃんを押し付けるのは、親も私も苦しいけど、悠李だと、落ち着くような気がするんだよね」



…そりゃあ、噂なんてしたら、ママが許さないし。