「――どっ、同棲!?」



「そう。どうせ毎日のようにどっちかの家で泊まってるんだから、夏休みだけ、一緒に住もうかと思って」



「おじさん、許してくれたの?」



「うん。トモの事は気に入ってるし、私が他に相手を見付けられる筈ないから、思う存分に仲良くさせようって諦めてるみたい」



「……悲しい性だね」



「どうせ私は、あんたと違って不細工よっ!」



1学期終業式を終え、私は幼なじみで、お隣さんの桜澤愛叶-マナカ-と帰宅中。

期間限定ながら、想定外の同棲の話を聞き、同い年ながら進んでるというか、大人の階段を着々と上り詰めてる愛叶に、私は冷静に返しながらも落胆。

勉強だって出来なくないし、割とモテて来た筈なのに、18年間、彼氏なし。

キスおろか、異性と手を繋いだのも、幼稚園の頃が最後のような気がする。

桜澤家は共働き一家の為、愛叶と我が家へと帰って、とりあえずママの作ってくれたお昼ご飯を食べ、暇潰しにカラオケへ。

夕方から愛叶は、彼氏である風間友也-カザマトマモヤ-君のアパートへ引っ越し。

ちなみに友也君は、私の二番目のお兄ちゃんの親友。

童顔で、背の低い彼は、可愛いと言われてる。

背が高く、ワイルド系と言われるお兄ちゃんとは違って優しくて、おじさんも本当に心配はないのだろう。