ガチャ
と自分の家なのに、なぜか我が家のように玄関を開け、私よりも先に入っていく。
リビングに入り深呼吸。久しぶりの部屋の匂いに落ち着く。
リビングもキッチンも汚れてないところを見ると、孝治さんが掃除してくれたんだろうな。
でも一応、空気を入れ替えようと、リビングの窓を開ける。
スーと風が入る、と同時に
「クシュン!」
『あ、ダメダメー。上着着てー。』
すぐに進藤先生が私の脱いだばかりの上着を肩にかける。
「す、すいません。」
『まだ病み上がりなんだから、暖かくして、安静に。
僕がいてまた病院に戻るなんて、許されないからね。』
へへへと笑う進藤先生。
言葉は優しいのだけど、私には常に医師の対応をしてくる。
プライベートでも、仕事中でも、医者と患者の関係。
まぁ、いいんだけどね、慣れたからさ。
『何か飲むー?』
キッチンから顔を覗かせる。
何か飲もうかな。
って、違う違う!
ここ私のうち!
「私やります!」
とキッチンに走りだそうとすると、
『あ、ダメダメ!走らない!』
また怒られる…。
『勝手は分かってるから。僕がやるから、すわってて。』
といわれ、渋々ソファに座って待つことに。
一体ここは誰の家なんだろうか…。