「……ゆづ、ゆづ。さっきからずっと怖い顔してるよ?」
「えっ?」
放課後、学校からの帰り道。
隣を歩くありさに指摘されて、私は両手で自分の顔を触る。
「そんな顔してた?」
「うん、してた。さっきから通り過ぎるみんなが、ゆづのこと見てたよ」
「うそっ!?」
苦笑いを浮かべるありさに、キョロキョロと辺りを見渡してみる……けど、今さらもう遅い。
「蒼空のことでしょ?……お昼、なにがあったの?」
きっと、近くにうちの生徒がいないかどうか。
ありさはチラッと周囲を確認して、小声で聞いてきた。
「実はね……」
私も周りを気にしながら、口を開く。
「ムカつくとかって言われた……。男嫌いとか言っといて、どうせすぐなびくくせに……みたいなこと言われて」
少し思い出しただけでも腹が立つ。
私のこと何も知らないあいつに、どうしてそんなこと言われなきゃいけないの。
私は他の女子達とは違う。
簡単に恋したり、少なくとも篁くんを好きになることなんか絶対にない。
それなのに……。