――出来ることなら、聞きたくなかった。
家に帰ってきた私は、真っ直ぐ自室に向かって、制服のままベッドに身を投げた。
まさかありさが、篁くんのことを好きだったなんて……。
しかも、それは現在進行形。
私は「はぁ……」と、ため息をつく。
『蒼空がああなってから、わざと距離を置いてたんだ。あたしは一度っきりとか、そういうのは嫌だから……』
『でも、同じクラスになって、久しぶりに話せるようになって、すごく嬉しかった……』
『今なら蒼空を変えられるんじゃないかって』
顔を赤くしながら、泣きそうな声でそう言ったありさ。
そんなこと言われたら、「あんな男(ひと)やめときなよ」なんて、とてもじゃないけど言えなかった。
……ううん、私には初めから何も言えない。
だって、篁くんのことはきっとありさの方がよく知っているし、それに……。
私はまだ一度も恋をしたことがないから。
人を好きになる気持ちもよくわからない私に、ありさの気持ちを否定することなんて出来ない。
……でも。