「いっけない、もうこんな時間!」

カバンを手に、バタバタと玄関へ向かう。

あれから1カ月ーーー週末はかけもちでバイトをする様になったあたし。

忙しい方が、元気でいられることに気が付いた。



ありがとう、大好きだよ。

今なら、素直に言える。


最初は、城間くんからメールが来る度に切なさに襲われたけど、今は嬉しさの方が勝(まさ)っていて。

元気でやっているんだと、それが励みになっている。


あの、あたしが大好きだった少年のような笑顔が、思い浮かぶんだ。


あたしは、忘れないよ。

あたしが今笑えているのは、キミが助けてくれたから。

キミの笑顔があったから。

辛い時は、空を見上げると頑張れる気がするよ。

「ヤバイ、遅刻する。」

車に乗ってエンジンをかけたところで、メールの受信を知らせる音が鳴った。