“あの日”が、全ての始まりだった――。







薄暗い部屋に、光が入り込む余地はない。


ただひとつあるとすれば、窓の外に広がる、ぼんやりとした夕闇だけ。




『愛してるよ、幸珀』



撫で回された頬に、嫌悪感が走る。


やめて。怖い。

私を、自由にして。



『永遠に』



抑え込まれた愛も、誓われた永遠も、全部全部壊れてしまえばいい。


ううん、私が、壊してしまいたい。



悪くなった心の奥で、拒否反応が蠢いていた。




大嫌いだ。

確かに在ったはずの好意が喪失して、あっけなく弱々しい涙が滴り落ちた。





この監獄から、一刻も早く逃げ出したい。