【side 蛍】


「蛍、髪の毛にご飯粒ついてるわよ」


「えっ、やだっ!どこ?」


「ほら、ここ。

もう、相変わらずなんだから」


穏やかな朝。お父さんが仕事に出かけたあと、お母さんと二人で朝ごはんを食べる。


夏休みが終わり、今日からいよいよ新学期。再び学校生活が始まることに、私は胸を弾ませていた。


だって、また毎日加奈子ちゃんに会えるし、クラスのみんなにも久しぶりに会えるし、それから……碧空くんにも。


あぁ、どうしよう。


彼の顔を思い浮かべただけで、胸が熱くなる。


夏休み、二人で水族館に出かけたあの日……。碧空くんに告白されたあの日から、私の頭の中は彼のことでいっぱいだ。


あれ以来顔を合わせてはいないけれど、その間もずっとメッセージのやり取りは続いていた。


そして今日、久しぶりにまた学校で会える。そう思うとドキドキする。


どんな顔して会えばいいかな。少し緊張しちゃうな……。