――それは、中学二年生の夏休みに入る直前の出来事。


ある日の放課後、私は同じクラスの碧空くんに突然呼び出された。


人けのない廊下の隅っこで、照れくさそうに口元に手を当てながら告白してくれた彼の姿は、今でも忘れられない。


『俺、気が付いたらいつも、柏木のこと見てる。

柏木のことばっか考えてんだよ』


いつもキラキラしてて、目立ってて、みんなの人気者だった彼がこんなことを言ってくれるなんて信じられなくて、一瞬何かの冗談か、罰ゲームなんじゃないかとすら思った。


だって、私と彼じゃあまりにも不釣合いだと思ったから。


『……好きだ。

絶対柏木のこと笑わせるから、俺と付き合って』