冬が終わり、桜の木に蕾がつき始めた頃
私、松野僾 (まつのほのか)は中学生になった
新しい制服に身を包み
これから始まる中学校生活に胸を膨らませていた
教室の席に着くと
「僾、おはよう」
隣の席から笑顔で話しかけてくれた
彼の名前は、野塚空 (のつかそら)
明るく、元気な野球ボーイ
坊主頭で
こんがり焼けた肌に白い歯が特徴的だった
彼とは同じ小学校に通っていたが
同じクラスになったことはなく
少ししか話したことはなかった
「初めて同じクラスになったな、しかも隣の席だし、これからよろしくな」
『うん、こちらこそよろしくね』
隣の席ということもあり、
私たちはすぐに仲良くなった
『昨日のドラマ観た?』
「みたみた!あたしもあんな学生生活送りたーーい」
『あれは憧れるよな』
「うんうん!」
授業中はこんな会話ばかりで
授業なんて上の空…
私は毎日楽しく過ごしていた