私は伏し目のまま唇を噛みしめると、静かに口を開いた。
『……さっきね、また言われちゃった。
睨んでるんじゃない、お高くとまってるなって。
睨んでるつもり、なかったんだけどな』
『十羽……』
『うまく笑えないせいで勘違いされちゃうのは馴れてたけど、中学入ってから言われることが増えて、ちょっとへこんでた』
感情表現が苦手だから、いつも怒ってるように思われる。
ほんとはお笑い番組を見ればゲラゲラ笑う方だし、笑いのツボ浅いのに。
みんなと仲良くなりたいってそう思っても、怖くてクールというイメージが先行してしまっているせいで、私が近づくと離れていってしまう。