「私、楓くんに会いに行く」



「はぁ?」



宣言した直後、すごいスピードで弟が批難の声をあげた。



寒さが増してきた、12月のとある休日の昼間。


両親が仲良くショッピングに行ってしまい、家には私と千隼だけ。



テレビを見ていた千隼は、突然リビングを訪れそう宣言した私に、不快感むき出しの目を向けた。



「なに言ってんの、十羽。
今更なんであんな奴に会いに行くわけ?」



千隼は、私の幼なじみである楓くんをなぜか嫌っている。



今回も反対されるってことはわかってた。


だけど、その上で決心は固まっていた。



「もうすぐクリスマスイブでしょ?
去年会いに行けなかったから、今年こそは楓くんに会いに行くって決めたの」