翌日。俺は早朝始発の電車に乗っていた。



今日は月曜日。

学校を休んで電車に乗り込んだけど、始発だからかまだ空いてる。



──十羽のことを、あのままで終わらせるわけにはいかなかった。



だから、どうにかして十羽の家族に接触し、十羽のことをなんでもいいから聞きたかった。



このままじゃ、受け入れきれない。

受け入れられるわけねぇ。



昨日、十羽の家を訪れたけど、元あった場所に十羽の家はなかった。



つまり、引っ越して戻ってきたと十羽が言っていたのは、嘘だったということ。



だから、細い路地前までしか送らせなかったのだと辻褄が合う。



こうなると、十羽が引っ越した場所を知らない俺にただひとつ残された手がかりは


『中学も、偏差値が全国2位の中学に合格したんだよ』


いつかの十羽が俺に話した、弟の千隼くんだけ。



その中学に向かい、十羽のことを聞くつもりで電車に乗り込んだ。