『かえでちゃん、宝物ってしってる?』



『たからもの?』



『ママにおしえてもらったんだけどね、宝物って、なくなっちゃったら一番かなしくて、一番だいすきなもののことなんだって』



『へぇ〜』



『だからね、かえでちゃんは、とわの宝物!』



俺の一番古い記憶は、そう言ってニコニコ笑う十羽の笑顔。



こちらもつられてしまいそうになる笑顔を見ながら、それなら自分にとっての宝物は十羽だと思った。



あの頃から、なにひとつ気持ちは変わらない。



世界で一番大切な君が、だれより幸せになってほしいと思ってた。



たったひとりの幼なじみのことが、
ずっと好きだった──。