ケータイ小説 野いちご

【完】君しか見えない

◇ 第1章 ◇
L 隠し続けた本音







『大園十羽?
そんな人、このクラスにいたっけー』



中学の卒業アルバムを見てしまってから、あの日々の記憶がふと蘇る。



忘れようとしてたのに、今もまだこうして心の中を真っ暗にする。



胸が痛むわけでも、悲しくなるわけでもない。


ただひたすらに、心が黒い雲に覆われるかのように無になるのだ。



昨日。

私は卒業アルバムを見て、思わず固まってしまった。



だけどあの時──楓くんも反応していた。



表情が一瞬にして固まり、私の視界から写真の存在を消すかのように勢いよくアルバムを閉じた。



楓くんはやっぱり……。



そこまで考え込んで、ふと自分が眉根を寄せていることに気づく。



……こんな難しい顔してちゃだめだ。


今から、こっそり楓くんの姿を見に行くんだから。


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