まるで
この空間だけが切り取られたような
不思議な感覚

主審が始めという宣告を出していない
それにもかかわらず、
もう既に試合中のような気がした

敵である相手に同情するレベルだなあ



友人である詩織がインフルエンザで
試合に出れないと言われた時はまじかーと
思ったが、
助っ人として結城さんをお願いしたと
聞いたときは驚いた

結城さんの偉業は学校では有名だ


容姿端麗
頭脳明晰
才色兼備
英華発外
仙姿玉質
羞月閉花
秀外恵中
品行方正
聡明剛毅
鮮美透涼

などなど
たくさんの言葉が当てはまるような人物だった
(これは文学部部長の悪ノリもある)

白百合女学園の編入試験を満点で通過したという学力の高さ

誰に対しても紳士的な態度

王子様のような言動

高い身長に長い手足

漆黒の夜が作り出したようなショートカットの髪

陶器のような肌

切れ長のアーモンドアイに澄んだ瞳

通った鼻筋

小さな形の良い紅い唇

そんな彼女の通称が王子

ファンクラブまである

学力も容姿も性格までも良いという三拍子

完璧である


アタシは、そんな彼女の
凛とした雰囲気がオーラがとても印象的だった