「馬鹿は俺だな……あづ」



 自嘲気味にそう言い、俺は片手で髪をぐしゃっと掴んだ。



 思えば中学の時から、あづは帰る時になるとやたら淋しそうな顔をしてた。




 俺はその顔に中学の最初に気づいてどうしたって聞いたくせに、その後はぐらかすようにあづが言った“何でもない”って言葉を、何の疑いもなく信じてしまったんだ。


 そのせいであづは荒れたんだ。

 俺がもっと気にかけていれば、平気で金をたかったりする奴にはならなかったはずだ。


 あづの目に掛かっている特徴的な青い髪を、
俺は片手で払った。





 今度は絶対、そんなことはしないから……。



 ——お前の涙は、絶対に俺が止めてみせる。