「空我?」


 聞き覚えのある声が聞こえて、恐る恐る目を開けると、目の前に潤がいた。

「やっと見つけた。俺ん家で手当してやるから、ほら、いくぞ」


 そういうと、潤は両手を使って、俺の体を無理矢理起こし上げた。


 そして、そのまま潤は俺の目の前にしゃがみこんで、俺をおんぶしようとする。

「え」

 予想外の自体に、俺は声が漏れた。

「早く乗れ」

 俺を一瞥してから、雑に潤は言う。

 躊躇いながらも俺が背中に乗ると、潤はため息を吐いて、ゆっくりと歩き出した。