《泪side》


八雲と付き合うことになって1週間が経ち、5月に入った。

あれから、あたしの長い眠気の続く傾眠期は過ぎて、ようやく普通の睡眠リズムに戻ってきた。


「なぁ泪、なんでクラスで一緒に授業受けねーの?」


いつも通り、保健室でお昼ご飯を食べていると、一緒に食べようとあたしの所へ来てくれた八雲が尋ねてきた。


「それは……」


あたし、病気のこと話してもいいのかな。

でも……ただでさえ八雲はモテる。

あたしは特別可愛いわけでもなければ、美人でもない。

そんなあたしが病気だなんて……嫌われる要素しか無いじゃん。


「なんだよ、俺にも話せないことなのか?」

「うーん……」


せっかく好きになってもらえたのに、嫌われたくない。

それが、あたしの正直な気持ちだった。

だから、あたしは話すことをためらう。



「……話すほどのことじゃないよ。ただ、少し体調が悪くて……」


「え、今は大丈夫なのか!?」


あぁ、誤魔化しちゃったなぁ。

これって、八雲に嘘をついてるってことだ。

罪悪感に心臓がチクチク痛む。