《side八雲》


泪と会う約束をした日、俺は朝いつも以上に髪をきっちりセットして、何度も鏡とにらめっこした。


今日は、泪に真剣に告白するつもりだ。

少しでも誠実さが伝わるようにしねーと。


「んー……とりあえず、見た目から直すか」


いつもふたつ開けているワイシャツのボタンは一つだけにして、ネクタイをきっちりつける。



「あいつ、ふた言目には俺をチャラ男呼ばわりするからな」



でもまぁ、今までのだらしなさが完全に原因だ。

しっかりしねーと、泪に告白しても、本気にとってもらえなさそうだし。


そんなことを考えながら、俺はいつも以上に気合を入れて、学校へと向かった。


そして、保健室にそっこう向かうはずだった俺は、学校につくやいなや……。



「八雲、今日のあたし可愛い?」

「あっ、八雲ー!放課後一緒にカラオケ行こうよ〜っ」

「八雲ー!見て、髪切ったのぉ、似合う??」


女の子たちに行く手を塞がれる。

おいおい、よりにもよって今日、足止めをくらうわけにはいかねーのに。