《side泪》


「ふあっ……あ……またやってしまった……」


4月下旬。

桜もすっかり散った今日このごろ。

あたしは、茜色に染まる保健室で目覚めると、とてつもない後悔にかられていた。


眠りについたのはお昼休みくらだから……。

ざっと、4時間ほど爆睡してしまったらしい。




「本当に、やんなっちゃう……ふぁーあ……」



頭がまだボーッとするけど、早く帰らなきゃ。

いや、先に先生に謝るべき??



「だめだー、寝起きで頭が全然回らない……」



私はよく、この保健室で眠ってしまう。

それは、普通の居眠りとかじゃなく、もっと病的なやつ。



私、神崎 泪(かんざき るい)は《反復性過眠症》っていう
原因不明の、非常にまれな病気をもってる。


不定期で、1日16時間ほど眠ってしまうような、強い眠気に襲われる時もあって、そういう時は何をしても起きてられない。


こっちとしたら、タイムワープみたいな感じで、起きたら2日後なんてザラだ。



寝てる間は、頭から水をかけられようが、強く揺さぶられようが、死体みたいに動かない……らしい。


あたしは眠ってるから分からないけど、透お兄ちゃんが言ってた。


「良かった、今日は今日のままで」



下手したら、3日間眠る時もあったりして……。


でも不思議な事に、記憶にないけど、トイレとか食事は自動的に起きてしてるっていう、一種の夢遊病みたいなことも起こす。