「どこにいるの、松下月星…」





どんなに走っても見つけられない。


どこにいるかもわからない。



足の向くままに進み、気付けば私の働くカラオケ店の前にいた。

私が月星と初めて会った場所。





「………!月星…?!」





とぼとぼと歩く月星らしき人物の背中を見つけた。


髪もぼさぼさで全然オーラがない。

こんなの他の子は気付かないだろうな…





「…月星!」





肩を掴んでこっちを向かせる。

正面から見ると顔が傷だらけで目も当てられない状態。





「…璃乃…?」

「宮野さんから全部聞いた。
月星の昔の話。
それで、救ってやってくれって言われた」





そう言っても月星はまだ理解出来てないらしく目を丸くしていた。


そんなことにもお構い無しに私は一方的に話し始める。





「でも月星に何があったのか、とか今何を悩んでるのか、とか救う方法なんて何一つ分からないから…謝りに来た」





すぅーっと息を吸いこんで心を落ち着かせる。





「『出会わなければ良かった』なんて本当は思ってない。あんな酷いこと言って本当にごめんなさい。
あの時は、ただショックだったの。悲しくて、悔しくて…自分は月星にとって特別なのかもって思った自分自身が凄く恥ずかしくて…。
もっと早くに謝るべきだったのに勇気がなくて…本当にごめんなさい!」





ばっと頭を下げる。





「……」





それでも月星は何も言わないから耐えきれず顔を上げてしまう。



私の目に映ったのはとても申し訳なさそうにする月星の顔だった。