「ちょ、璃乃?!何その顔どうしたの!」
「…んー悠子、おはよ」
あのままベッドに入っていつ寝たか定かでない。
下向いといて!
私はあまり人の来ないトイレに連れて行かれた。
「ほら!鏡見て!」
「えぇ?!何これ!!!!!」
誰だこいつ、何だこの顔ーー!!
昨日は泣きに泣いてあんまり冷やしもしなかったけど…
それでもこれは酷すぎる、よくこれで学校まで来れたな…
あ。今日は何かすごい色んな視線を感じたんだった。
この顔のせいだったの…?!
誰か言ってよ、顔が酷いですよって。
それもそれで失礼だわ…
「もう…こんなんじゃ月星くんに大笑いされるよ?」
ニヤニヤする悠子。
そっか。何も言ってない。昨日はずっと一人で考えてて誰にも何にも言ってないんだ…
「悠子、あのね…」
「…は?!
何その急展開…」
信じられない、みたいな顔で目を見開いてる。
「……そっか」
「え?」
「璃乃は…月星くんのこと好きなんだね」
さっきまでの表情とは一変して優しく笑った。
「今までの璃乃なら
"本当最低!ありえないー!!"
って叫んでるもの。
これからどうしたらいいか分かんない、そんな風に見えるから」
「私ね…こんなのっていうか、今までの全部が初めてでよく分からない。
でも頭の中にはずっとあいつがいて、嫌なようで嫌じゃない」
今日は1度も月星を見てない。
私の教室に来ることなく、私が彼の教室に行くこともない。
出会う前に、戻っただけ。