自分にできることをしよう。
そう思うようになって、私は憑き物がとれたようにスッキリと、少し前までのネガティブな私が嘘のように立ち直っていた。


いつか、この命を全うして二人に会えた時、褒めてもらえるようになりたい。
そんな風に思えるようになった。




「ひな様、やる気になられたのは喜ばしいことですが、あまり無理をなさるのはいかがなものかと」



書斎にこもって読書に耽っていた私を咎めるジルの声。
私は、とりあえず物を知ることから始めようと城の中にある本がたくさん置いてある書斎の場所を聞きそこに籠っては本を読みふけっていた。

とはいえ、最初は文字が読めずに驚愕した。
私が知っている日本語なんてものはどこにもなくて、ジルに一から文字を教えてもらう事から始めた。

字の成りたちは日本語と同じ、“あいうえお”みたいな50音があって、それを並べて文字にしていくというもの。
だからジルに50音全部書き出してもらってそれをもとに本を読んでいる。



最初は時間がかかりまくっていたそのやり方も、何度も繰り返し50音表を見返しているうちに何度も出てくる文字は覚えられるようになって、少しずつ読書スピードも上がっていった。




それでも、最初は読むのに必死で内容が全く入ってこなかったんだけどね。