なるべくばれないようにと長かった髪をバッサリと切り、エリックさまの用意してくれた馬車に乗り込んだ。
長いこと揺られとまったのは初めて来る一軒の家の前。

小さな平屋の一軒家で誰も住んではいないようだった。



「これを渡すようにと言われています」

「・・・ありがとうございます」



ここまで連れてきてくれた人が最後に一通の手紙を差し出す。
それを受け取り、ここまで連れてきてくれたことにお礼を言った。

その人を見送り、その一軒家の中に入るとその手紙を開いた。
それはエリックさまからだった。



『無事、たどり着いただろうか?
あまり、ちゃんと説明をしなかったから、きっと不安に思っているでしょう。
でも許してほしい。
僕の、小さな抵抗だと思って。』



そんな書き出しから始まった手紙。
小さな抵抗?
それがどういう事なのかわからないまま読み続けた。