――王さまから話は聞いておられると思いますが。正式に、ひな様を私の婚約者として迎え入れようという運びになりましたのでご報告に




「おい、ジル!」

「―――え、あ・・・っ!」




ひな様の元に運ぼうとしていたティーカップが手から零れ落ちる。
すんでのところで、側にいたノエルが手を差し出しそれを受け止めた。



「すみません、ありがとうございます」

「いや、・・・お前らしくないミスだな」

「私だって、ミス位しますよ。それよりも、なぜここにノエルが?」



ノエルは、街から戻って来たため任務は終えていたはず。
私は、執事としての任務があるのでこうして紅茶の用意をしにここに来たのです。
ノエルがここにいる必要はあるわけありません。




「・・・お前、知ってたのか?」




ノエルが、躊躇いがちにそう言った。
ノエルの言いたいことは、わかっている。