営業部攻略法

その①【決して押し黙ってはいけない】

その②【足下を見られたら屁理屈で乗り切る】

その③【こちらの要求が通らない場合、責任だ    けでも営業部に擦り付ける】
その④【取り敢えず吠える】







結局、微熱のまま出社したあたしは午後イチからの企画会議に出るべく、下準備をしていた。



『川本、案件は昨日のままで止めてある』


「十分です。ありがとうございます」


昨日、水城さんに預けた資料を受け取り、もう一度目を通しておく。


今日の企画会議を設けてくれたのは、水城さん。どう話し合いをしても営業が引き下がらないの見て、重役を巻き込んでの会議だ。

この企画でどのくらいの利益がでるのか。


赤字を懸念する営業。

営業のやり方では、損失が出ると言う編集。


あらかじめ、黒崎さんが会議用資料を配布していてくれた。

もちろん数字は高めに設定。そこから下げられたとしても、こちらの痛手にはならない。

流石、黒崎さん。微妙なラインの設定をしてくれている。




『よし、じゃあ行くか』

「はい!」


『川本、頑張ってー。いざとなったら、風邪菌を撒き散らしてくればいいよ』


気合いの入るあたしや水城さんに対し、緩い黒崎さん。

いつも通りである。