ケータイ小説 野いちご

気まぐれ魔女の恋愛模様?

辺境伯と気まぐれ魔女
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「今回は助かった。ロドもかなり回復したようだ」

騎士たちの宿舎を通り過ぎた門の前、にこやかにそう言っているレイル殿下の後ろでは、怖ろしいモノを見るかのように私を視界の隅に入れているロドさんの姿があった。

2日目にはふらつきながらも、食事もバクバクと食べ始め、エリックさんから注意を受けるまでがっついていたロドさん。

今日は騎士の制服に身を包み、しっかりと立っている。

「その……助かりました」

ボソボソと言っているのはお礼なんだろう。

そっぽを向いているのは、この3日間、私が薬を持っていく度に『悪魔が笑顔でやって来た!』とか、散々悪態をついていたから、罰が悪いらしい。

「いいえ。お勘定もちゃんといただきました。研究材料までもらっちゃったし」

細切れになった毒付きのロドさんの片袖も、ちょこっと土産にもらった。

フファの実で解毒されたみたいだけれど、ちょっと珍しい種類の毒だったから研究したいってお願いしたら、エリックさんが渋い顔をしながらも分けてくれた。

「できれば、せめて街に留まってくれると嬉しいんだがな」

苦笑交じりに呟くダージさんもいて、それには首を振る。

「街が無理なら、城に留まってもいいぞ」

冗談交じりのレイル殿下には、嫌な顔をして首を振った。

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