健康診断は比較的平和に終わった。

夏菜子と数人の女子は身長が体重がと言っていたけれど、わたしは体力測定の方が心配でぼんやりしていた。

「大丈夫? お腹空いた?」

「んーちょっとね」

「もしかして体力測定?」

夏菜子は苦笑して尋ねる。その通り、とわたしは頷いた。
勿論そのことだ。

健康診断の用紙を提出して、更衣室で着替えて教室に戻る。

「夏菜子、私と代わらない……よね」

「代わりたいのは山々だけど、他の女子に睨まれるのはちょっとね」

その言い分は尤もで、わたしが彼とまわることに理由はあるが、夏菜子がわたしと代わることに理由はない。