自分の感情を知るより先に相手の感情を知りたいなんて、贅沢なことを言ったものだと思う。

比べて、慧斗はわたしの気持ちに対して何か言うことはなかった、

それは、経験の差もあるかもしれないけれど、わたしの心の狭さもあるのかも。

「……あとは、自信の差……」

呟いて自分の部屋の壁を視線で伝う。

思い返してみれば、慧斗はいつも私を助けてくれた。幼稚園の時だって、やり方は兎も角、わたしが痛がって泣いていたから傷口を塞ごうとしてくれたのだろう。

そして、コナを追いかけて木を登った時だって、慧斗は一番に見つけてくれた。