あれから数日。


私に友達が4人も出来てから。

帰りは途中まで送ってくれて、


……なんだか申し訳ないけど。




「陽葵ちゃん、今日こそ放課後一緒に倉庫に行こう?」

お昼休みは屋上で過ごすのが彼らの日課らしく、それに私も加えてもらっている。


「いやです」


「楽しいところだよ?」


「いやです」


……私がなぜ、こんなに橘さんの言葉に首を横に降っているかと言うと。


「私、暴走族怖いです」


というのは建前で、本音は暴走族という組織と深く関わりたくないからだ。

…まぁ彼らと友達という時点で関わってはいるんだが。

あまり干渉しすぎると私の正体という程でもないが家柄がバレてしまう。

……明人さんや夏目、樹さんや他の人にこれ以上迷惑はかけたくない。


「怖いって…俺らも一応その暴走族なんだけどね」


困ったように笑う橘さん。

……やっぱりこの笑顔は苦手だ。


「…」

それを横目にパンにかぶりついた。

「ん、陽葵これあげる」


すると来栖さんがそう言って私にトマトをくれた。


「………好き嫌い」


どうやら彼はトマトが苦手らしい。


「いーじゃん。食べれる人が食べた方がそのトマトも嬉しいよ」



そう言って来栖さんはコンビニ弁当を食べた。


来栖さんからもらったトマトを食べると、桐月さんと目が合った。


……何。


なんであんなに目つきが悪いんだろう。
……誰かに似てる。

ああ、輝に似てるんだ。


輝も目つきが悪い。けど、わかりやすいが。


輝とは、私の……


「………倉庫くれば友達増えるよー」

そのとき、工藤さんが言う。


「………友達で釣るのやめてください。
私はみんなで十分です」


それにぷいっと頬を膨らまして私は言った。


「陽葵ちゃんはかわいいなぁ」


橘さんの言葉に眉をひそめる。


「…何言ってんですか橘さん……」


私のどこにその要素があったのだろうか?

「え。まって陽葵ちゃん。もっかい俺のこと呼んで?」

と、その話題は終わったのか橘さんが言う。



「?
橘さん。」


「凪は?」


「工藤さん」


「陸は?」


「来栖さん」


「昴は?」


「桐月さん」


「……そんな」




なんだって言うんだ。
私は誰の名前も間違えてないはずだが。


「……初めて名前呼ばれたと思ったらまさかの苗字………」

橘さんはそう言ってわかりやすく肩を落とした。


あ……そういうこと。