その日、絢香は、落ち着かなかった。
昨日の自分の失態を思い出すと、居ても立っても居られない気持ちだった。

その相手がもうすぐやって来る。

(ー どういう顔をすればいいのか…。)
絢香は憂鬱な気持ちを隠せなかった。
時計を見ると、18時50分。
(ー あと10分か…。)
絢香は、ため息をついた。

とりあえずは、仕事だ‼️と絢香は軽く首を振ると、気合を入れた。

「先生、何してるんですか?」
後ろから声がして、慌てて振り返る。

「…!!」
絢香は驚きで声が出なかった。
そんな絢香を、チラッと見て、晃はピアノに座った。

「始めましょう。」
と天使の微笑みで晃は言った。