ケータイ小説 野いちご

真実の愛に気づいたとき。

6.全ての真相



だんだんと見慣れた景色が目に入ってきて私は気づいた。恐らく、向かっている先は"あの場所"だ。


どうしていきなり連れ出したのだろう。


話って何?




車は徐行走行し、やがて停車した。『ここから歩くぞ』という松村さんの声で、私は車から降りる。


先を歩く松村さんの三歩後ろをついて行く。



私は空を見上げた。快晴だった。今日はあの絶景を見ることができるかもしれない。




予想通り、変わらぬ新緑の高原と雲ひとつない青空が目の前に広がった。そして、大樹もしっかりとそびえ立っている。


私たちは当たり前のようにその大樹のところに腰を下ろす。


しばらく無言が続き、松村さんが先に口を開いた。


「実は…さ、ここは俺の元カノ、未央ちゃんの姉ちゃんが大好きな場所だったんだ」


「えっ…」


突然告げられた真実。別れた彼女が好きだった場所に、別れた後も松村さんは足を運んでいて、それに加えて私を連れてきていたってこと?


もし、その元カノがここに来たら、鉢合わせてしまう。そんなリスクを負ってまで…いや、もしかしたら、松村さんはまだ元カノに未練が…?


そう思った私の耳に届いた次の真実は、あまりにも悲しいものだった。


「亡くなったんだ。自ら命を絶った」


「…そんな」


謎のベールに包まれていた松村さん。彼自身のことなんて話してくれることもなかったのに。


そして私は気づいた。ここに来た時の松村さんは、時折苦しそうな表情を見せる。それは、亡くなった元カノのことを思い出していたからではないか、と。



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