「ーーゆっくりしていてね」


「あ……すみません」


翼の母親の後をついていったはいいが、今いるとこらは食堂らしい


長方形テーブルにの六脚ずつおかれたイスが六台並べられ、俺は今窓際に座らされている


大きな窓の外は柵を挟んで海が見えていた


「はぁい、お待たせー」


「!」


目の前に出されたのは紅茶と生クリームの乗ったシフォンケーキ


「白浜先生が戻ってくるまで待ってるのも退屈だからお話しましょう。 遠慮しなくていいからね」


「あ……はい」


……ダメだ、話と聞いても曖昧な返事しかできない


初対面でましてや翼の母親だ


今頃向こうも話をしているのだろう


白浜さんは翼の父親に対する敵意であるが増悪は感じない


あるのはやり場のない怒りという感情だけ


向かいに座り、紅茶を飲む翼の母親に目を向ける


……やはり、翼と瓜二つだな


背中まである長さを後ろに纏めたミルクティー色の髪に少し垂れ目の茶色の瞳


翼をもう少し大人にしたらあんな感じになるのだろうか