町並みは田舎の印象が強く木製の家々が並び、駄菓子屋などあまり目にしない店が営んでいる
暫く平らな道を歩いていたが、やがて目の前に海が広がるようになる
冷たい風邪に思わず身震いすると肩に何かがかけられた
見ると、星夜が着ていた上着で……
すぐに返そうとしたけど頭をクシャクシャに撫でられて前に行ってしまう
「……ありがとう」
私は星夜の心遣いに甘えて少し借りる事にした
「この坂を上れば到着する」
坂は曲がり道も入りかなりの距離がある
「少し急だな。 大丈夫か、翼」
「ッ、ハァ……え、えぇ」
履き慣れた靴を履いているにしても長い坂を上るのはあまり機会がない
「キツイかもしれないがもう少しだ。 頑張ってくれー!」
少し先にいる振り向いたお父さんは疲れた様子見せずに言った
……私だけかしら、体力ないの
星夜に手を引かれ、息をつきながら必死に後をついていく
実際の時間にしては二十分足らず
私からすれば一時間と長く感じた坂を上りきり、お父さんが言う"目的地"へと到着しだ