――ガタンッタタンッ……


私達を乗せた電車は都会から田舎へと向かっている


先程まで見えていたビルなどの建物から森や田園へと景色を変えていた


今から向かう場所は電車で四時間以上かかる海の見える町


そこにお母さんがいる


私は車窓から正面に視線を向けた


正面には少し固い表情をしたお父さんが座っている


……お父さんが泣いた姿を見たのはあれがはじめてだった


向かい合う形で作られたイスに座った私とお父さんは終始気まずい状況だった


星夜ははじめは隣に座っていたが暫くして「悪い、少しの間席を離れる」と言って他の車両に続くドアから出たっきり戻ってきていない


もしかしたら星夜は話す機会を作ってくれたのかもしれない


そう考えると、今の時間も無駄に過ごすわけにはいかない


私は再度お父さんの顔を見る


「……今から」


と、同時にお父さんの口から言葉が発せられた