その後わたしは理人さんのマンションへ共に帰宅した。



その頃には、温室を優しく包んでいた暖かな夕陽も沈み、藍色に染まる空によく映えて輝く星ぼしと白い月が街を見下ろしていた。



「そういえば、今日も鍵空いてたね。二日連続だけど、どうしたの?」



「なんでもないよ。ただ、鍵をかけておくと理人さんが大変になるかなって思って」



久我くんのことは知られたくない。


もし、知られてしまったらわたしは鍵を返さなければならないかもしれない。



でも、理人さんは優しいからそんなことはしないだろう。



ただ、契約の条件が増えるのだろう……



だから、知られてはならない。



感づかれてもならない。





いつも通りを装い、キッチンを借りて夕食の支度をする。