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「ただいま」



「おかえり、お姉ちゃん。

今日は遅いんだねー。夕ちゃんと一緒だったの?」



ひょっこり。

リビングから顔を覗かせた彼女に、「ううん」と首を横に振る。なんだ、と残念そうな顔をした妹にくすりと笑って、「ただいま」をお母さんにも告げた。



「おかえりなさい。

お父さんももうちょっとで帰ってくると思うけど、お風呂先に入るなら入っちゃいなさいね」



「かのちゃん先入っていいわよ。

わたしご飯食べてからでも大丈夫だから」



「はーい。……ん?」



笑顔でうなずいた妹が、わたしのすぐそばへと駆け寄ってくる。

どうしたの?と尋ねるよりも先に、かのの手がわたしの手に触れて、ピンクゴールドのリングをなぞった。




「なにこれ……!指輪!?」



夕ちゃんとおそろいなの!?と目をきらきらさせてくる彼女。

違うとは言えなくてもごもごと口ごもっていたら、「いいなぁ」とリングをいろんな角度から見つめてくる。



「かのちゃんにはまだ早いわよ」



「もー、お姉ちゃんってばわたしのことすぐそうやって子どもあつかいする。

わたしだって来年からは高校生なんだよ?」



「かのちゃんに変な男が寄ってこないか、

お姉ちゃんは心配してるの」



姉という贔屓を抜きにしたって、かのは可愛い。

決して治安が良いとは言い切れない現代の中にかのを放り込むなんて心配すぎる。……なんて、過保護すぎだって言われそうだけど。



「おねえちゃん好き……!」