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「わーい夏休みだー!」



バンザイ。

手を広げて盛大に喜ぶゆゆ。そのゆゆに追い打ちをかけるように「お前バイトだろ」と口にするそなた。……可哀想だからやめてあげなさい。



「ガキだね」



「……ガキだな」



「ガキだねえ」



そしてその様子を見て辛辣な万理、綺世、みやの3人に、苦笑する。

──あれから特に音沙汰もなく、日は過ぎて夏休み。夏期講習は行われるものの、うちの学校は成績が良ければ免除、という形式なので、次にわたしがここへ来るのは始業式だ。



そなたに文句を言い返しているゆゆを見ていたら、綺世がわたしの頭に腕を乗せて「ひの」と名前を呼んでくる。……どうして頭に腕乗せるの?

完全にわたしのこと腕置きだと思ってない? というか、身長が低いって馬鹿にしてない?




「綺世さん腕のけて」



「お前夏休みどれぐらい空いてんだ」



「見事にスルーしないで……!

というかスマホそこにあるからスケジュール確認させてよ……っ」



う、動けない。

なのにこういうスキンシップにちょっとドキドキしちゃうんだから、わたしって最低すぎる。ぷるぷるしながら手を伸ばしてスマホを手にすると、後ろからのぞき込んでくる綺世。



距離近いんですけど……!

待っ、腕のけてくれたと思ったらさりげなく腰に回してくるのやめてほしいんだけど、何してるのこの人……っ。



「予定詰まってんな」



「っ、ねえ近いんだけど……!?」