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「ねえ、綺世(あやせ)。

わたしたち学校で"絶対に別れないカップル"って言われてるらしいわよ。一体どこにそんな根拠があるのかしらね」



「それほど仲が良いってことなんじゃないか?」



ふっと笑う彼の手が、わたしの髪を優しく撫でる。

心地よくて目を細めれば、「猫みたいだな」と笑う彼。吐息が重なるほど近づく距離に目を閉じれば、後はもう、それを待つだけ。



「……綺世、別れよう?」



ゆっくりと離れた距離の中で、口を開く。



「……ああ。

そろそろ言い出すと思ってた」



別れ話にそぐわない彼のやわらかな笑み。

そして「知ってると思ってた」とわたしも笑って、投げ出したままの彼の指に、じぶんの指を絡める。




「これからも仲良くしてくれる?」



「当たり前だろ。

別れて縁切れるような女じゃねえからな」



「ふふ、褒めてくれてありがとう」



くすくす笑い合って、どちらともなく名残を惜しむみたいに、吐息を触れ合わせて。

これで最後、と絡めた指先を離した。



「……だいすきよ」



【BLACK JOKER
 -元姫VS現姫-】



──うそつきな男は、嫌いなの。