ケータイ小説 野いちご

林檎はあまいかすっぱいか

きみとぼくと林檎

 



彼曰く、林檎が赤いと言う人は物事の本質を解っていないらしい。



「赤いのは皮だけだろ。中身は白いんだから赤なんて林檎全体の1割にも満たない」

「はあ」

「それに青林檎はどうするんだよ、林檎は赤いの命題が成り立つなら青林檎の立場がない。すなわちその命題は偽だ」

「うん……そうだね」


軽率でした、とわたしが謝ると、解ればいいんだ、と智くんは眉間のしわを少しだけ和らげる。


「外観というのは当てにならない。現に、眼鏡をかけている人間は賢いと思われがちだけど、みのりは馬鹿だ」


……うーん。なんで林檎は赤いと言っただけで怒られて、挙句の果てに馬鹿呼ばわりされないといけないんだろう。昔からあまり勉強ができないのは否定しないけども。
近眼なのは遺伝だよ、遺伝。


そんなことを思いつつ、「林檎のように赤くなった頬」と書いていた原稿の一節を消して「林檎の皮のように赤くなった頬」に書き直してみた。


……いや、青林檎の立場も考えないといけないんだっけ。
じゃあ「熟れたサンふじの皮のように赤くなった頬」……なんかちがうなあ……。




 

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