「由李ちゃん!」「由李!」

彼女の身体が、地面に引き込まれるように崩れ落ちるのを、間一髪で抱き留める。

二人にぼこぼこにされていた男達は、ここぞとばかりに、こそこそと逃げ出していた。

( ……今は、それどころじゃない )

かたかたと震えていた彼女の顔は、血の気が引いて真っ青で、俺達は急いで保健室へと駆け込んだ。

騒ぎを聞きつけたのか。保健医はすぐに病院に電話をかけた。

到着した救急車に無理矢理同乗し、彼女の白く細い指を握り締めた。

診察を受けた彼女は、ストレスによるものだろうと診断され、今は病院のベッドに寝かされている。

容態は落ち着いているのか、顔には僅かに血の気が戻っているように見えた。

「私のせいだ……私が無理矢理連れて行こうとしたからだ」

「落ち着け、宮日」