◆ ◆ 「萌葉、帰んぞ」 次の日。 放課後に声をかけてきた三成くんの隣に、本多くんの姿はなかった。 「……萌葉?」 顔をのぞき込まれてハッとする。 「聞いてんのか」 「き、聞いてる……」 「さっさと帰り支度しろよ」 「うん。わかった」 慌ててカバンの中に教科書類をつめるあたしを、三成くんがじーっと見つめてくる。