とっぷりと陽が暮れた、冬休みの音楽室。




アタシたちは、あと数日に迫った市の定期演奏会に向けて練習をしていた。





「よーし、今日はここまで。外はもう暗いから、各自気をつけて帰れよ」




合奏練習を終えて、指揮棒(タクト)を振っていた部長が楽譜(スコア)を片付け始めると、部員たちも一斉に片付けを始めた。




アタシもピアノから席を立ち、鍵盤に蓋(ふた)をして、四つあるティンパニのひとつを壇上から楽器庫へ運ぼうとしていた、その時。



「かーえーでーちゃんっ」


「いったっ!」




アタシの髪が後ろから引っ張られた。