「なんで、あんたが来るんだよ。」

俺の顔を見るなり、開口一番の言葉だった。

「飯に誘われたから?

就職こっちなんだってな、オメデトウ。」

大好きな奈央ちゃんのいる街に就職したのだ。

攻めるって言ってたし、まあ、頑張れ。

「お前、ここに泊まる気だったの?」

いくらイトコでも、恋人でも無いのに、それはどうなんだろうな。

彼女が天然記念物並に鈍いからって、好きな女とひとつ部屋で一晩、マズイだろ。

相手はどう見ても弟にしか思ってないのに、いきなり襲って気まずくなったらどうするつもりだったんだ、こいつ?

「さあ、ご飯出来たよ。
どうせろくな物食べて無かったんでしょ、二人とも。

しっかり食べなさい!」

ゴロゴロ野菜の入った煮物、温かい味噌汁、ホカホカの炊きたて白飯、薄切りの豚肉だけど、しっかり味の絡んだ生姜焼き。

ついつい箸が進み、食べ尽くしてしまった。

コンビニ弁当では味わえない満足感だった。